【奇跡の一枚】阪神競馬場でデットーリ騎手の直筆サインをもらった話
目次
世界的名ジョッキー、ランフランコ・デットーリ。その直筆サインを、日本の競馬場で手に入れた——今回はそんな奇跡のような体験を、競馬ファンの視点からお届けします。
世界的レジェンド、ランフランコ・デットーリとは?
まずは、あらためてデットーリ騎手とはどんな人物なのかを簡単にご紹介しておきます。
**ランフランコ・デットーリ(Lanfranco “Frankie” Dettori)**は、1960年代から活躍したイタリアの名騎手ジャンフランコ・デットーリの息子で、自身もヨーロッパを代表するスーパースター騎手です。
イギリスを拠点に活動し、凱旋門賞、キングジョージ、英ダービーなど世界のビッグレースで数々の勝利を挙げてきた名手。特に1996年には、アスコット競馬場で全レース(7レース)を制覇するという前人未到の偉業を成し遂げ、“マジックセブン”として競馬史に名を刻みました。
日本でも短期免許での騎乗があり、**派手なガッツポーズジャンプ(通称:デットーリジャンプ)**でも知られています。年齢を重ねた今でもその技術・存在感は色あせることなく、まさに“現役のレジェンド”です。
そんな世界的騎手のサインを、まさか自分の手で受け取る日が来るとは思いませんでした。
「異常オッズ」専門の競馬ファンとして
私はいわゆる“予想家”ではありません。馬の能力分析や展開予想ではなく、オッズの動きだけに注目して馬券を買うタイプの競馬ファンです。
特に重視しているのは、朝イチ、締切5分前、確定直前など時間帯によって変動する単勝・複勝オッズ。
中でも、「なぜこの馬がこんなに売れてる?」という、いわゆる**“異常オッズ”**の馬を拾うことがメインのスタイルです。
ただし、買うのは単勝や複勝ではなく、その“異常オッズ馬”を軸にした三連複。これはあくまで私なりの戦略ですが、的中率より回収率を重視しているので、穴馬の動きには常に注目しています。
東京競馬場での悔しい初戦
デットーリ騎手が来日すると知り、最初に足を運んだのは2019年11月23日の東京競馬場でした。
あいにくの冷たい雨が降る中、デットーリ騎手はこの日2勝。私はそのどちらかでサインをもらおうと、色紙とサインペンを握りしめてウィナーズサークルへ向かいました。
ですが、結果は惨敗。
雨で色紙は濡れ、サインをもらえたのはほんの数名。デットーリ騎手も急ぎ足で退場してしまい、私はずぶ濡れのまま色紙を持ち帰ることに……。
「次こそは絶対に……」
そんな思いを胸に、翌週の阪神競馬場で再戦を誓いました。
勝負の舞台は阪神5R、ストーンリッジで勝利
そして迎えたのが2019年11月30日・阪神競馬場。デットーリ騎手はこの日も数鞍に騎乗し、そのうち5Rの新馬戦でストーンリッジに騎乗予定。
馬も良血、そして鞍上デットーリとあって、事前から“勝ち負け必至”と目されていました。
私は「ここで勝てばサインのチャンスがある」と読んで朝から現地入り。案の定、ストーンリッジは見事な末脚で1着となり、ウィナーズサークルへ向かってきました。
サイン台前には人、人、人……
すでに多くのファンがその可能性を読んでいたようで、ウィナーズサークルのサイン台前には30分以上前から行列が形成されていました。
色紙を持ったファンが何重にも折り重なり、近づくことすら困難な状態。中には脚立や折りたたみ椅子を使って場所取りをしている人まで。
ここで私は、ある“仮説”を実行に移すことにしました。
「外国人騎手はサイン台の存在を知らないかもしれない」
短期免許で来日する外国人ジョッキーの中には、日本の競馬場の勝利騎手インタビューやサインの流れを知らない人も多いと聞いていました。
実際、これまでもサイン台を無視して別の場所からサインを始めるケースがいくつかあったのです。
「もしかしたら、ウィナーズサークルの端っこの角からサインを書き始めるかもしれない……」
その“読み”に賭け、私は誰もいない角のスペースにひっそりと色紙を構えて待機していました。
読み的中!人の波にもみくちゃにされながら…
そして本当にその瞬間はやってきました。
デットーリ騎手が、まさにその角からサインを始めたのです。
一気に人が押し寄せ、私も周囲から強く押されてもみくちゃ状態。それでも、精一杯腕を伸ばして色紙を差し出しました。
次の瞬間——
私の色紙をデットーリ騎手が手に取り、その場でサインを書いてくれているのが見えました。
目の前で筆を走らせる姿はまさに夢のようで、その瞬間の高揚感はいまでも忘れられません。
これがその直筆サインです
短期免許での来日、数日間の限られたチャンス、そして多くの競馬ファンたち。そんな中で手にしたこの色紙は、まさに一生の宝物です。
まとめ|競馬もサインも「読み」が大事
今回の体験で私が強く感じたのは、
「競馬もサインも、結局は“読み”の世界」だということ。
オッズを見て穴馬の動きを読む。
ファン心理や動線を読んで騎手の行動を予測する。
どちらにも通じるのは、**“予想の精度”ではなく“視点を変える力”**だと思います。
誰もいない角に賭けたあの判断がなければ、このサインは手に入らなかった。
だからこそ、これからも馬券も現地観戦も、ちょっとズラした目線を大切にして楽しんでいきたい——そう思えた一日でした。
